大庭コテイさち子 Sachiko Oba-Cote
教育研究家。学習者中心のピアノ教育法に魅せられ1989年渡米、大学附属機関ALPで英語論文研修を経てコロンビア大学教育者大学院入学。ロバート・ペース教授、リー・ポゴノフスキー教授、ハロルド・エイベルス教授、エバ・リサ・コバリック教授(ジュリアード音楽院)らに師事。総合的学習教材作成のためにプログラミングコースを受講、音楽学習ソフトMusic Clockを完成させた。Music Clockは、芸術教育学部とコンピュータサイエンス学部教授らの推薦によりコロンビア大学イントラネットに模範ソフトとして登録され、分野を超えて多数の教授と学生に利用された。1994年芸術学と教育学修士課程を修了し教育学博士課程に進む。ALPと大学院で学んだ米国式の学習者中心教育法、創造的思考法、論理的な文章の構成法を中心に、米国の教育学及び教育法とその実情について研究を続ける。

1994年12月ウェブ・ブラウザの教育的な可能性に注目、1995年3月個人のホームページ用スペースを利用して、子どもの創造的な国際学習サイトInternational Kids'Spaceを制作運営。翌月アクセスが激増したため、プロバイダInterportが、回線混雑の原因となったKids Spaceサイトを発見、内容に共感して専用サーバーとテクニカルサポートの無料支援を開始。日本・アメリカ・イギリス・オランダ・香港からボランティアが集まり、翌年子どもの国際交流と国際姉妹クラスをサポートするKids' Space Connectionサイトを立ち上げた。当時ネット上のバーチャルグループが政府認可の非営利団体になった例がなく、取得までに紆余曲折があったものの、2000年夏キッズスペースファウンデーションが501(c)(3)資格を取得、CEO & Executive Director に着任。NTTグループを中心にNYに拠点を持つ日本企業からの協賛と米国の財団の助成で運営を続けた。これはシカゴの弁護士研究会で最先端例として発表され、以後ネット上グループの非営利認可は一般化するようになった。

Kids' Spaceでは、ネット上初の子どものための安全なコミュニケーション・ツールKids' Space Messaging Systemの開発運用をはじめ、国連・日本政府・NTT東の協力を得てG8サミットにちなんだ平和のメッセージマラソン VOICE FOR THE EARTH (VOTE)、多国籍の6人がチームになり絵本列車を走らせる国際創作絵本サイトGlobal Story Train、各国の民族衣装の紹介Children's Traditional Costumesなど、多数の国際プロジェクト及びICT応用教材を企画制作。2001年の同時多発テロの翌日にはLetters for NYC Childrenを立ち上げ、電話や手紙が届かないNYCの子供たちへのメッセージボードとなった。International Kids' Space とKids' Space Connectionには、2010年までに世界173ヵ国から30万組以上の親子が参加した。

教育コンテンツのパイオニアとしてインターネットの平和的・教育的利用の可能性を示したことより、米国、日本、イギリス、スウェーデン、イタリアをはじめ、各国で表彰を受ける。広告と外部リンクがなく、教育学に基づいて作られたインターラクティブな無料コンテンツは、多くの学校の英語・コンピュータ・ネットリテラシー授業で使われた。 C-SPAN, Canada Discovery Channel, Singapore National TV, RAI Italia TV等で紹介。ラジオや雑誌の特集記事・インタビュー記事多数。メディアコンテストの審査員も務める。

また、ウェブサイトとして初めて米国司法省の関連団体 National Center for Missing & Exploited Children(NCMEC)に協力、FBI捜査官と警察官を対象としたInternet Crimes Against Children (ICAC)の研修修了、ネットを利用した犯罪捜査に協力するとともに、小中学校教師のためのネット安全CD教本制作、6000枚を日本全国の学校に無料配布;コロンビア大学国際公共政策大学院のインターンを受け入れ、米国の最新ネット安全対策と実情をリサーチし日本企業や行政団体に毎年無料配布;こどものネット安全教室マテリアル作成、NYで安全教室の開催などのインターネット安全啓蒙活動を行った。しかし、2008年10月のリーマン・ショックの影響により、2010年 Kids'Space Foundation はその使命を終えることになった。多くの惜しむ声が上がったが、膨大なコンテンツとデータベースの管理に加え、人の手による24時間シフトの安全監視が不可能になったため、継続は無理と判断した。

同年、科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム STS forum の米国政府認可非営利団体、American Associates of the STS forum (AA-STS) 立ち上げに寄与、2011年1月に正式認可を受け運営に関わる。 現在は、AA-STSのマネージメントとともに、自らが考案したエッセイ・トライアングルをグローバルな表現力と訴求力の向上に応用し、グローバルビジネスに不可欠な話の組み立て法と クリエイティブ&ビジュアル・シンキングをテーマに執筆・講演活動を行っている。

静岡県立掛川西高等学校・国立音楽大学・コロンビア大学教育者大学院卒業。音楽学士(BM)、芸術学修士(MA)、教育学修士(EDM)。教育学博士課程(EDD)中退。全米音楽教育者連盟・全米科学教育者連盟会員。1990年よりニューヨーク、マンハッタン在住。


主な受賞 out of over 80 awards
1995 Webby Award, USA (ウェビー賞、アメリカ))
1995 マルチメディア・グランプリ ネットワーク部門最優秀賞, 通産省日本マルチメディア協会
1996 Top 1, Best 500 sites, USA (Best500サイト 最高賞、アメリカ)
1997 マルチメディア・グランプリ 海外最優秀賞, 通産省日本マルチメディア協会
1998 Childnet Award, First Prize at the NPO dep. London, UK(チャイルドネット賞第1位、ロンドン)
1998 RAI Italia TV, Multimedia conference, Assisi, Italy(RAIテレビ主催マルチメディア会議、イタリア)
1999 Stockholm Challenge, Finalist, Stockholm, Sweden(ストックホルム・チャレンジ、スェーデン)
2001 Tech Museum Award, Nasdaq Education Award, San Jose, USA (ナスダック教育賞、アメリカ)

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